ねばり(ネバリ:粘り)、丹田力のメモ

【ねばり】
四肢の末端(および剣先)まで体の重み……体重を伝える構造。

【ねばりの構造のつくりかた:表現】
構造とは、筋肉の引き締めかた。および、力を入れてはいけない部位の脱力。
文言的に「息を吐いて脱力する」「下腹がカチカチになる」「脇を締める」「肩を落とす」などに集約されるが、ひとつひとつはこの構造をつくった際に現れる現象。

【ねばりの構造のつくりかた:ヘソ(丹田)から末端まで力を伝えやすい順に】
1:かかと
自分の体重をかけたい場合は、踏みつけるのが簡単です。人間の体の構造は素からそうできていますので、空き缶を潰すように踏みつければそのまままっすぐ体重がかかとまで通ります。

2:おしり(座る)
これも簡単です。へそにいちばん近く、頭の天辺から尻の下まで一直線になるよう背筋を伸ばして座れば、座面に『体重-(座り方による足の重さ)』がかかります。足を着けないように上げればもっと重さが座面にかかります。
ドンケツゲームのように勢いを付けた尻(腰)で攻撃すると、体が乗った重い一撃となります。

…………ここから伝える部位は上半身になります…………
下半身の重みを上半身に伝えるため、上半身と下半身を腸腰筋を引き締めます。
腸腰筋の引き締めには、大きく息を吐き無駄な緊張を解き、腸腰筋を締める余裕を作って下腹(丹田)を中心にギュっと引き締めます。
ここが「大きく息を吐ききると下腹がカチカチになる」の表現と意味になります。
これで下半身(丹田)の動きと重さを、上半身に伝えることができるようになります。

3:背中
勢いを付けて寄りかかるだけでかなりの重さになります。
比較的強靱な骨と筋肉を携えている背中はまだ下半身の重みを伝えやすいと思います。

4:肩甲骨
中国拳法では『靠(こう)』といわれる、肩甲骨と僧帽筋を中心とした固い部分です。
背中での当て身のいちばん(丹田から見て)末端となります。

5:肩
『体の中心線から動きの大きい関節を経るほど』『体の中心線から離れるほど』息を吐いて腸腰筋を引き締めたように一体化しないと、ぐにゃっと曲がったり、関節を痛めたり、体の重さを伝えきれません。
肩で当たる場合は、僧帽筋をゆるめ(脱力:「肩を落とす」)脇を締める(背中と胸の筋肉を引き締める)と上手い具合に『4:肩甲骨』と一体化します。

6:肘
脇を締めたまま(脇が開いていても、肩を落とし背中と胸で引き締めています)。

両肩のは肘のとあわせ、前から見ると一直線です(正中線上に乗っています)。がやや下なのは、肘をかかとに見立てて体重をかけるためです。

ここからが工夫なのですが、を前に出る足とした場合、実際に出している右足は邪魔になります。なので、常に右足の裏を紙一枚浮かせ続けるようにしてください

そうすると、肘が相手に触れた瞬間から離れる瞬間まで、肘で相手を踏みつけることができるようになります。

筋力に頼らず相手に自分の重みを伝える=無駄な力みなく相手に威力を伝える丹田力を発揮することができます。

この体移動で出る威力全般を丹田力、伝えるための構造をねばりと、便宜上言っています。

7:手首(手根)
前腕の尺骨を経るのでさらに丹田力を伝えるのは難しくなります。

尺骨は完全に肘から掌底(拳)まで伸ばし、内に捻ります。完全伸捻です。

中国拳法ではかかとと丹田が正中上に、膝とつま先は開きますが、剣術の場合は四股で完全に膝も併せて平面となります。

手首(手根)から先、拳、平拳、貫手、一本拳(貫指)になるにつれ、ねばりの構造を造るのも困難になり、ゆえに徒手空拳の武術では指先や拳を耐えられる構造にするために鍛え上げることになります。

ここで掌にある舟状骨と大小菱骨を刀の柄に乗せて小指を締めると、刀の片手撃ちのスタイルになります。

…………ここまで片手。ここから両手になります…………

片手ではまっすぐな平面になりますが、両手(諸手:双手)では、ヘソと両肩と剣先の作る強固な三角(=ねばり)で体の重さを(=丹田力)伝えます。
剣先にまで伝えるため、『刀勢』といいます。刀が相手に振れた瞬間に、刀はかかとになり、重みを伝えます。
さらに四股で踏ん張れば体移動の重みが乗ります。
前足の裏を紙一枚浮かせ続ければさらに強くなります。
相手が避けて重みを外されても紙一枚沈むだけで体は崩れません。
体重の乗った剣を弾いても、バネのように戻るのはこのねばりの構造があるためです。

ここまで追記。